100万部作家3人が語るAI時代のライティング術

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https://www.youtube.com/watch?v=GeDoQDIkkwM

先週、なかなか贅沢なセミナーに参加してきました。100万部超えのベストセラー作家が3人、同じ会場に並んで話をするという企画です。テーマは「ベストセラー作家が語る AI時代の超ライティング術」。それぞれのプレゼンのあと、3人での討論会まで用意されているという構成でした。

私が4年以上参加している、樺沢紫苑さんのオンラインサロン「ウェブ心理塾」の月例セミナーです。情報発信や商業出版を目指す人が集まる場で、毎月1回セミナーが開催されます。会場は新宿が中心ですが、オンライン受講もでき、アーカイブも残ります。

今回登壇されたのは、樺沢さん、越川さん、そして今年に入って何冊もベストセラーを出している堀田さんの3人。それぞれ立ち位置がまったく違っていて、そこがこのセミナーの一番おもしろいところでした。

樺沢紫苑さん:AIに頼るほど、人間は後退していく

最初の樺沢さんの話は、AI活用論ではなく、むしろ警鐘でした。AIに頼ることで、人間の知的能力・認知能力が徐々に失われていく。そしてそれはもう始まっている、という指摘です。

もちろん、これからAIを使わずに生きるのは無理な話です。問題は「どう使うか」。何もかもAIに聞いて、文章まで自分の代わりに書いてもらう。そうやって考えることそのものを手放してしまうと、人はどんどん後退していく——というのが樺沢さんの懸念でした。

AIが書けるのは「文章」であって「文章」ではない

ここで語られていたのが、短い文章と長い文章の違いです。AIは文章を書くことはできる。けれど、長い文章——自分の経験や思考を土台にして紡ぎ出すようなものは、まだちゃんと書けていない。

そういう文章は、自分で考えて自分で組み立てるしかありません。そしてその作業をやめてしまえば、人としての成長も止まり、認知能力は落ちていく一方だ、と。

私自身、この話は素直に刺さりました。AIに投げれば答えが返ってくる環境に慣れると、考える前に手が動いてしまう。意識して自分の頭を使う時間を残しておこうと思っています。

越川さん:記憶の抽出と整理はAIに任せる

2人目の越川さんは、元マイクロソフトということもあって、AIをフル活用する立場からの話でした。ただし、丸投げするという意味ではまったくありません。

越川さんがAIに任せているのは、自分の記憶の抽出と整理です。ベストセラーを書くには、自分自身の経験——それも雑多で幅広い経験が欠かせない。ところが実際に本を書こうとすると、その経験を「思い出す」作業に膨大な時間が取られてしまう。ここを短縮できるのがAIだ、という発想です。

「セカンドブレイン」を育てる

自分の経験や考えをAIに覚え込ませておくと、AIがそれを整理してくれる。あとは質問を投げれば、必要な記憶が返ってくる。越川さんはこれを「セカンドブレイン」と呼び、それを育てることが大事だと話していました。

そのために使っていたのが、小さな筒のようなAIデバイス。マイクとメモリを内蔵していて、セミナーでの会話も自分のプレゼン内容も、ふと思いついたことも、常時記録しているそうです。記録された音声はAIに連携され、自動で文字化・要約されて知識として蓄積されていく。

人間が時間をかけるべき場所

思い出す・抽出する・整理する。この部分をAIに預けたうえで、人間は「整理されたものをどう構造化して本にするか」に時間を注ぐ。ここを自分でやらなければ、売れる本にはならない、というのが越川さんの結論でした。

印象的だったのは、AIには肉体がなく、自らの欲求もない、という指摘です。だからAIは新しい経験をすることができない。世の中の知識をいくら吸収できても、実際に体験することはできない。つまり経験こそが人間の差別化要因であり、だからこそ自分の思いや経験をセカンドブレインに蓄積しておく価値がある、という話でした。

堀田さん:出典確認と、AIに「議論させる」という発想

3人目の堀田さんは、エビデンスを非常に重視するタイプの書き手です。だからこそ強調していたのが、出典の確認でした。

AIにはハルシネーション——事実でないことをもっともらしく生成してしまう性質があります。だからAIが出してきた根拠は、必ず自分の目で出典まで確認する。地味ですが、これを飛ばした瞬間に本の信頼性は崩れます。

AI同士に議論させる

そして今回いちばん驚いたのが、堀田さんの「AIに議論をさせる」という手法でした。本を作るとき、AIに編集者・書店員・読者・専門家といった役割を割り当てて、5〜6人分のキャラクターを用意する。そして、その全員に議論をさせるのだそうです。

すると、それぞれが自分の立場から発言するので、AI同士のやり取りの中から思いがけない切り口が出てくる。私はこれまでAIに対して「質問して回答をもらう」使い方しかしてこなかったので、そんなことができるのか、と素直に驚きました。

ちなみにこの話を聞いている最中、越川さんが「実際に議論させてみたい」とその場で言い出していました。聞いた話をすぐ試す実行力。これもまた、勉強になった場面です。

圧巻だったのは、最後の討論会

3人のプレゼンだけでも十分すぎる内容でしたが、本当にすごかったのはそのあとの討論会でした。1時間ちょっと、3人の情報量が次から次へと繰り出されて、メモがまったく追いつかない。それでも必死に書き留めていました。

討論会というのは、当然ながら台本にない話が出てきます。「おおー」と声が出るような話が何度もあって、これは相当に貴重な体験だったと思います。

まとめ:AIに預けるものと、手放してはいけないもの

3人の話は、警鐘・活用・検証と方向性がバラバラのようでいて、実は同じことを言っていたように思います。作業はAIに預けていい。でも、考えることと経験することは手放してはいけない

AI社会をどう生きるか。その輪郭が少し見えたセミナーでした。

なお、ウェブ心理塾は昨年から新規会員の募集時期を絞っていて、年に数回のタイミングを逃すと入会できません。入会すると過去数年分のセミナーアーカイブがすべて見られるので、そこも大きな魅力だと思います。商業出版を目指す方には、出版コンペという場もあります。

この記事を書いた人

有村 好人

有村 好人(よしひと)ことアリーです。
外資系IT会社を早期退社後、個人事業主になり、このブログの運営、コンサルティング業務を行なっています。
繋がる機器が大好きで、家での生活を繋がる機器でいかにスマート(快適で便利)にするかを考えています。
また、電気自動車の日産リーフで、どこまでも遠くに行きたいと思っています。