ソーラーシェアリングは食料と電力を同時に生む

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https://www.youtube.com/watch?v=xssuzcK1euA

先日、柏の葉キャンパス駅前のアーバンデザインセンター柏の葉(UDCK)などが企画した上映イベント「Kスクリーン」で、『日向のファーマーズ 福島と希望』という映画を観てきました。テーマはソーラーシェアリング。農地の上に太陽光パネルを設置し、その下で農業を続けるという取り組みです。観終わったあと、これは食料問題と電力問題という二つの大きな課題に対する、ひとつの現実的な答えかもしれないと思いました。

60人が集まった上映会「Kスクリーン」

Kスクリーンは、コロナ禍のあとにUDCKが何度か開いていた上映会の流れをくむイベントです。社会問題や環境問題を扱ったドキュメンタリーをみんなで観る、という趣旨で、私も以前から何度か足を運んでいました。今回は第2回。会場を東京大学の施設に移し、60人ほどが集まっての上映となりました。

一人で配信を観るのとは違って、同じ映像を大勢で観ると、そのあとに交わす言葉の温度が変わります。こういう場が近所にあるのは、なかなかありがたいことだと思っています。

ソーラーシェアリングとは何か

ソーラーシェアリング(営農型太陽光発電)は、農地の上空に架台を組んで太陽光パネルを並べ、パネルの下では今までどおり作物を育てるという方式です。太陽の光を、発電と光合成で「分け合う(シェアする)」からこの名前がついています。

収入源が二本になる

農家にとっての一番わかりやすいメリットは、収入が二本立てになることです。作物の売上に加えて、発電した電気からも収入が得られる。天候や相場に左右されやすい農業にとって、もう一本の柱ができる意味は小さくありません。

実は私自身、この仕組みの話を聞いたのは今回が初めてではありません。もう何十年も前に、そういう取り組みがあるらしい、と耳にした記憶があります。映画を観て、あのとき聞いた話がその後どう育っていったのかを知ることができたのは、大きな収穫でした。

耕す人がいなくなった土地で

映画が扱っているのは福島です。原発事故のあと、農業を続けられなくなった方がいて、耕す人を失った農地が残された。その土地でソーラーシェアリングを始める、という話が出てきます。「放置された農地をどう活かすか」という問いに対して、発電と営農を同時に載せるという答えを出しているわけです。

背景にある二つの問題

食料

日本の人口は減っていますが、世界全体で見れば人口は増え続けています。このまま増えていけば、食べるものが足りなくなるのではないか。そして日本は食料の多くを輸入に頼っています。島国であるこの国で、何らかの理由で外から物が入ってこなくなったら、国内で作って国内で食べるしかありません。そのとき、耕せる土地と担い手がどれだけ残っているかが効いてきます。

電力

もう一方は電力です。AIが広がるほど、それを動かす大規模なデータセンターが必要になります。さらにこれからフィジカルAI、つまりロボットが現実世界のあちこちで働くようになれば、その学習や稼働のために電力がどんどん使われていく。電力需要は今後さらに膨らんでいくはずです。

ソーラーシェアリングは、この二つに同時に手をかけられます。一つひとつの規模は小さいかもしれませんが、広がっていけば、同じ土地から食料と電力の両方が生まれる。これはなかなかいいアイデアだと思いました。

実際の農地で何が育っているか

映画には、実際にソーラーシェアリングをしている農家の姿が出てきます。育てているものは一つではありません。

  • ブドウ
  • 小麦
  • 牛の放牧

個人的に面白かったのは放牧です。牛がパネルの下の草を食べてくれるので、草刈りの手間が減る。そして育った牛はグラスフェッドビーフとして出荷されていく。発電設備の管理と畜産が、無理なく噛み合っている。作物を育てるだけがソーラーシェアリングではないのだと知りました。

農業には大変な面がたくさんあります。ただ、そこはロボットや機械の導入で少しずつ変わっていくはずです。担い手が減り、使われない農地が増えていく一方で、その場所で電力がまかなえるなら、機械を動かす条件も整っていく。そういう循環がだんだん見えてきます。

千葉大学の実験設備を見学して

上映後には、千葉大学にあるソーラーシェアリングの実験設備を案内していただきました。実物を見られたのは大きかったです。

そこには何種類かのパネルが並んでいました。太陽光パネルというと、真っ黒で、下がすっかり暗くなってしまうものを想像しがちです。ところが最新のパネルはかなり透過率が上がっていて、見た目も白に近い。太陽光をそれほど遮らずに発電できる。つまり、下で作物を育てやすいパネルが出てきているということです。技術のほうも、農業に歩み寄る方向で進んでいるのだと実感しました。

おわりに

食料問題も電力問題も、ひとりの力でどうにかなるものではありません。それでも、こういう技術と、それを地道に実践している人たちがいると知るだけで、先の景色は少し変わります。映画を観て、実物を見て、同じ場所に集まった人たちと同じものを眺める。そういう一日でした。

『日向のファーマーズ 福島と希望』、機会があればぜひ観てみてください。

この記事を書いた人

有村 好人

有村 好人(よしひと)ことアリーです。
外資系IT会社を早期退社後、個人事業主になり、このブログの運営、コンサルティング業務を行なっています。
繋がる機器が大好きで、家での生活を繋がる機器でいかにスマート(快適で便利)にするかを考えています。
また、電気自動車の日産リーフで、どこまでも遠くに行きたいと思っています。