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先週、多拠点居住サービス「ADDress」を使って浅草に1泊してきました。自宅から電車で20分ほどの場所です。旅というほど遠くもなく、観光というほど気負いもない。それでも、泊まってみると街の見え方がまるで変わることに驚いた一日でした。
月2泊1万円、貯まっていく宿泊数
ADDressは、全国(一部は海外にも)の宿を定額で使える多拠点プラットフォームです。もともとは家を持たずに宿を転々とする「アドレスホッパー」向けのサービスという色が濃かったのですが、ここ3〜4年でプランが増え、月2泊から月30泊まで選べるようになりました。
私が入っているのは月2泊のプラン。月1万円なので、1泊あたり5000円で全国どこにでも泊まれる計算になります。以前は大阪万博の時期に新大阪の宿に1週間ほど滞在して、そこを拠点にエキスポに通ったこともありました(その拠点はもうなくなってしまったようですが)。
このプランの面白いところは、使わなかった泊数が6か月まで繰り越せること。最大12泊まで貯まるので、夏休みにまとめて2週間近い滞在をする、という使い方もできます。ただ、私の場合は「行けるうちに行こう」と思っているうちに泊数だけがどんどん貯まっていく。そこで最近始めたのが、都内で夜に宴会があるときにあえて都内の宿に泊まるという使い方です。帰りが格段に楽になります。
20年以上ぶりの浅草寺
今回泊まったのは、南千住と浅草の中間あたりにある宿。翌日の夕方から日本橋で投資スクールの宴会があったので、それまでの時間で浅草の街を歩くことにしました。
まず向かったのが浅草寺です。お参りをするのは20年以上ぶり。前回は、海外から来た会社の知り合いを案内したときだったと思います。
浅草という街自体は、実はその後もよく通っていました。一時期、自転車を輪行して通勤していた時期があったのです。自宅から自転車で駅まで行き、電車に積んで浅草で降り、そこから丸の内まで自転車で走る。会社では席の脇に自転車をそのまま置かせてもらっていました。1年どころではなく、けっこう長く続いた生活です。ただ、自転車通勤は寄り道ができない。停める場所に気を遣うので、ふらっと店に入るということがしにくいんですね。それもあって、いつのまにかやめてしまいました。
屋形船での宴会でも浅草の船着き場はよく使っていましたが、そのときは混雑を避けて浅草寺のあたりをなるべく通らないルートを選んでいた。だから「通ってはいたけれど、お参りはしていなかった」わけです。
浅草は喫茶店の街だった
今回いちばんの発見は、喫茶店の多さでした。宿のある南千住側から浅草に向かって歩いていくと、観光地でもなんでもない普通の通りに、目立たない喫茶店がぽつぽつと点在している。しかも覗いてみると、外国人のお客さんが普通に食事をしているのです。
サーモンとベーグルで2500円
浅草寺にある程度近づいたあたりで入ったおしゃれな一軒は、お茶とベーグルとサーモンのセットで2500円。いわゆるインバウンド価格でした。悪くはないけれど、なるほどここはそういう相場か、と。
650円のモーニング
一方、宿の近くまで戻ってくると、トースト・サラダ・卵・コーヒーか紅茶がついたモーニングセットが650円。歩ける距離のなかで、これだけ価格帯が違う。街の層の厚さを感じました。
レコードでジャズが鳴る喫茶店
とくに良かったのが、店の奥に大きなスピーカーが据えられていて、レコードでジャズが流れている喫茶店。音がとにかく良い。こういう店は、時間を気にせずゆったりできます。ここではカレーをいただきました。スパイスカレーだったかキーマカレーだったか、音のほうに気を取られてよく覚えていないのですが、とにかく居心地が良かった。
Insta360の公式ショップ
喫茶店のほかに寄ってみたのが、Insta360の公式ショップ。最近つい360度カメラやジンバルカメラを買い込んでしまっているので、素通りできませんでした。アクセサリーの実物がずらりと並んでいて、こんなに種類があるのかと感心。店内はそれほど混んではいませんでしたが、外国人のお客さんが外国人の店員さんに相談していて、やはり観光客向けの立地なのだなと思いました。
隅田川沿いを日本橋まで歩く
宴会の会場は日本橋。まだ時間があったので、歩いて行くことにしました。隅田川沿いには整備された遊歩道が続いていて、川を眺めながらのんびり歩けます。観光船が行ったり来たりするのを見ていると、セーヌ川のほとりでも歩いているような気分になってきます。
ふと見上げると、首都高6号線。そういえば毎朝、あの渋滞の中を通勤していたな、と記憶がよみがえりました。車の中からはいつも周りの車ばかり見ていて、高架の下がどうなっているのかなんて見えない。歩いてみて初めて「ここはこんなふうになっていたのか」と分かる。同じ場所でも、移動手段が変わると別の街になります。
途中、浅草橋でタイ料理のグリーンカレーを食べ、日本橋の手前でまた喫茶店に入って時間をつぶし、夜の宴会へ。二次会まで出て、終わったのは12時近く。自宅なら終電を気にする時間ですが、この日は浅草の宿がある。しかも昼間に歩いた道なので、いざとなったら歩いて帰れる。結局は電車が動いていたので電車で戻りましたが、この「歩いて帰れる」という安心感は、都内に泊まる大きな価値だと思いました。
電車で20分でも、泊まれば景色は変わる
翌日も朝と昼に近所のカフェに寄ってから帰りました。
家から20分ほどの場所に泊まる。それだけのことなのに、見える景色は大きく変わります。ADDressの宿は基本的に普通の家なので、観光地のホテルではなく、普通の街の中で寝起きすることになる。だから、その街の日常の側——目立たない喫茶店や、650円のモーニングや、地元の人が歩く通り——に自然と触れることになるのだと思います。
遠出をしなくても、2泊3泊といろんな街に住んでみる。そういう遊び方ができるのが、このサービスの一番いいところかもしれません。貯まった泊数、また都内で使ってみようと思います。