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会社を辞めて8年、働かず毎日楽しく過ごしています。予定がない毎日だからこそ、面白そうな場所があればふらっと出かけます。先日足を運んだのは、柏の葉キャンパス駅前で開かれた「Kサロン」。そこで聞いた漫才コンビ・フランポネさんの話が、思いのほか大きなところまで想像を連れて行ってくれました。
柏の葉の「UDCK」とKサロンという場
柏の葉キャンパス駅の目の前に、アーバンデザインセンター柏の葉、通称UDCKという施設があります。この街ができるずっと前からここにあって、柏の葉という街をどう発展させていくかを考え、実行してきた組織です。イベントの開催もそのひとつ。
そのUDCKで月に一度開かれているのがKサロンです。毎回ゲストが来て、その時々でまったく違うトピックが飛び交います。会費制で、カレーやおつまみが出るのも特徴。まずみんなでゲストの話を聞き、そのあと場が温まったところで参加者同士があれこれ話す。そういう仕組みになっています。街のことを考える施設が、こうしてゆるやかな社交場も持っている。これは住んでいる人間からするとありがたい話です。
ゲストは「お笑いで社会貢献」する漫才コンビ
今回のゲストはフランポネさん。チーム全体では3人で活動されているそうですが、この日はコンビのお二人が来てくださいました。
フランポネさんは日本人とスイス人の夫婦漫才コンビです。奥様はフランス語が母国語で、ほかにもいくつもの言語を話されるとのこと。そんなお二人が掲げているのが「お笑いの力で社会貢献を」というテーマでした。
誰でも漫才が作れるワークショップ
お二人が各地で開いている講座の流れが、聞いていてとても面白かったので紹介します。
- まずフランポネさん自身が漫才を披露する
- 参加者にコンビを組んでもらう
- コンビ名を決める(決め方のパターンをいくつか示すので、すぐ決まる)
- そのコンビでネタを作る(ネタ作りにも定型があり、例を見せてもらえる)
- 最後に全員の前でネタを発表する
ポイントは、コンビ名の付け方にもネタの作り方にも「型」が用意されていることです。ゼロから作れと言われたら誰だって固まりますが、フォーマットがあれば埋めていける。だから本当に誰でも漫才が作れてしまう。この設計の巧みさに感心しました。
漫才が届く先の広さ
この活動が向かう先が、また幅広いのです。障害者施設。小学校、中学校、高校、大学といった教育現場。そして在日外国人の方々。
特に面白いと思ったのが外国人向けの取り組みでした。やさしい日本語を使いながら、外国人が間違えやすい日本語をネタにしてしまう。笑いが起きるうえに、そのまま日本語の学習にもなっている。教材として構えると退屈になりがちなものが、漫才という形式に乗るだけで自分から前のめりになるコンテンツに変わる。うまいやり方だと思いました。
漫才は「今の日本文化」だ
フランポネさんは海外でも活動されています。奥様が多言語を話せることもあって、いろいろな国に出向いて漫才という日本の文化を伝えているそうです。
ここで、ひとつ視点をもらいました。日本の伝統文化と言われて浮かぶのは歌舞伎や能でしょう。でもあれは、言ってしまえば過去のものです。一方で漫才は、大阪で生まれ、今まさに生きている日本の文化です。現在進行形の文化を世界に持っていく。そう捉え直すと、この活動の意味がぐっと大きく見えてきます。
笑いが広がった先にあるもの
誰でも作れるフォーマットがある。それを海外でも展開している。ということは、漫才の笑いはこれから世界のあちこちに広がっていく可能性があるわけです。
笑うと人は健康になります。そしてみんなが笑っている状態というのは、たぶん争いから一番遠い状態です。漫才が世界に広がっていけば、世界は少し平和に近づくのではないか。話を聞きながら、そんなことを本気で考えていました。
大げさに聞こえるかもしれません。でも、そういうことを掲げて実際に手を動かしている人が、目の前にいる。それを知れただけでも、この夜のKサロンは行った甲斐がありました。
おわりに
働かない生活の何がいいかというと、こういう夜に出かけられることだと思っています。仕事に追われていたら、平日の夜に街の施設で食べながら漫才コンビの話を聞くなんて発想は出てきません。予定を空けておくと、思いがけない話が向こうからやってくる。これからも、そういう時間を積み重ねていきます。